2017年12月11日月曜日

京滋奈ブロック大会2018における電池の取り扱いについて(2017/12/07版)

京滋奈ブロック大会は、2018年1月7日に開催を予定しています。
その際の電池に関するローカルルールを以下のとおりとします。

1.使用できる電池
 1)乾電池(充電できない1次電池)のうち、
   マンガン乾電池
   アルカリ乾電池
  は使用できます。

 2)2次電池(充電可能な電池)のうち、
   ニッカド   (NiCd)電池
   ニッケル水素 (NiMH)電池
  は使用できます。

 3)2次電池のうち、「高性能電池」(リチウムを使用した電池 *1 )に
    ついては、以下のように分けて使用条件を整理します。使用条件を満た
    さないものは使用できません。

  a)LEGO MINDSTORM NXTを使用し、NXT以外に電源供給しない場合に限り、
    LEGO純正バッテリ(WPT9798、WPT9693)は使用できます。
    ※NXTに接続されるセンサ、モータはOKですが、バッテリに別の線を
     つないで電源を引き出すようなものはNG

  b)LEGO MINDSTORM EV3を使用し、EV3以外に電源供給しない場合に限り、
    LEGO純正バッテリ(EVP45501)は使用できます。
    ※NXT同様

  c)ロボットにスマートフォン等を搭載する場合、その機器のみを動作
    させる純正内蔵電池は、リチウム系のものでも使用できます。
    (その機器以外にも給電する場合は不可)

  d)スマートフォン等用の外部電池(USB給電のもの)を搭載する場合、
    メーカー保証の最大電流値以下で使用する場合は使用できます。
    メーカー保証の最大電流値が不明な場合は、最大電流値を 500mAと
    します。
    ※事前に、保障値以下の電流しか流れない構造である証明提出

  e)その他のリチウム系2次電池のうち、
     リチウム燐酸鉄(LiFePO4、LiFe)電池
    は、別記条件1を満たす場合に使用できます。
        ※事前に、条件を満たしていることの証明提出

     この場合、別記参考をもとに、事故が起こらないよう、自己責任
    において使用してください。万一、事故が発生した場合は、競技者
    およびその保護者に損害賠償請求せざるを得ない場合があります。

  f)その他のリチウム系バッテリのうち、
     18650型リチウムイオン電池
    は、別記条件2を満たす場合に使用できます。
        ※事前に、条件を満たしていることの証明が必要

     この場合、別記参考をもとに、事故が起こらないよう、自己責任
    において使用してください。万一、事故が発生した場合は、競技者
    およびその保護者に損害賠償請求せざるを得ない場合があります。

 上記以外の電池は一切使用できません。
 リチウム系2次電池に関する参考情報は、別記参考をご覧ください。


2.バッテリの容量に関する制限事項
  バッテリの容量に関する制限は、ジャパン2017大会のワールドリーグ
 の制限に準じます。
     http://www.robocupjunior.jp/rule.html
     http://robocupjuniorgifu.net/RCJJO/battery.html
  このルールは、2次電池すべてに適用します。

  それ以外のバッテリに関する規定は、ジャパン2016大会のローカルル
 ールに準じます。(上記と相異なる事項は、上記のルールを適用)

     http://rcjjinternational.blogspot.jp/2015/11/2016.html

  ただし、下記事項には京滋奈ブロックのローカルルールを設定します。

 ・ジャパンのルール b-2(ヒューズ等)について、使用できるのは
   1)物理的に溶断し、再度電流が流れないもの(一般の半田ヒューズ)
   2)異常が継続する場合は、電流が流れないもの(安全回路)
  とします。ポリスイッチは使用できません。

 ・ジャパンのルール b-4(保護メガネ)については適用しません。


3.全般的な事項
  ロボカップジュニアでは、技術的な点は参加者の自己責任です。
  個別製品について、使用の可否などの問合わせがあっても、ブロック
 において全商品を十分にテストすることはできませんので、回答できま
 せん。

  LiFeであれば安全ということでなく、リチウムイオン電池特有の危険
 はLiFeにもあります。そのため、使用にあたっては、本稿の条件や参考
 の他、最大限に安全を確保したうえ、最悪の場合は賠償責任があるとい
 う点も踏まえていただきますようお願いします。

  こういう説明をすると、安全を確保できる条件を示すようにという声
 が出ても不自然ではありませんが、2次電池やモーターのアプリケーシ
 ョンは、そう簡単なものではなく、電池と機械の「バランス」で決まっ
 てくるものなので、電池だけの規制では安全を確保することができない
 性格のものだということをご理解ください。
 
  数年前に、オキシライド電池という強力な1次電池が発売されました
 が、2-3割強力というだけで、さまざまな機器が故障したり発火した
 りしたことで、オキシライド使用禁止という機器が大半になってしまい、
 電池も製造されなくなりました。
  乾電池でもそういった状態ですので、その数倍~数十倍の電流を流せ
 る2次電池では、問題はもっと深刻であるという認識をお願いします。

  ジュニアジャパンでは、2017年大会のルールに至る中で、
  ・潜在的危険性は容量によるもの
  ・公式には、リチウムイオン電池は全て同じで、LiPoとかLiFeという
   区別はない
 というスタンスで臨まれているようです。

  「潜在的危険」は確かにそうなのですが、事故の起こりやすさという
 「顕在性」は、 LiPo と LiFe には明確に差があるという論文も出てい
  ると聞いております。
    また、リチウムイオン電池が「公式に」一律同じものであるかどうか
 という点は、実際にどうすれば事故を防止できるかという観点とは全く
 関係のないものであり、事故防止の観点に立った情報提供もないという
 のが実態です。

  京滋奈ブロックでは、これまでの使用実績から、一定の安全性が見込
 まれるものを、条件だけではなく技術情報も合わせて開示することとし、
 「危険の顕在化の防止」にブロックで出来る限りの対応をするとともに、
 その先に残る危険性は参加者の自己責任と位置づけたうえで、ブロック
 および競技者双方が、安全を確保するための現実的な取り組みを進める
 ことが適当ではないかと考えています。



(別記条件1)LiFe電池の使用条件
 ・電池にショックが加えられない構造であること。
   クッション材で支えてあるなどが必要。
 ・電池に局所的に力がかからない構造であること。
   特に、スペーサが電池に当たる構造は、そこだけに力がかかるので
   不可。
   ラジコン等の電池パックについては、硬質材料で作られたカバーを
   装着し、カバーと電池パック間にはショックを和らげるクッション
   材を配置するとともに、電池パックの温度上昇を防止するために、
   冷却が十分できるような通気口なども設けるようにすること。
 ・充電したまま保管しないこと。
   充電されたエネルギー量と、事故の規模は比例するため、長時間の
   保管を行う際には、満充電の状態とはしないこと。
   ※満充電で放置したため、電池パックが破裂寸前まで膨らんだ事例
    があります。
 ・移動、保管は少しだけ充電した状態で行うこと。
   放電終了状態だと、使用できなくなることがあるため。
 ・ヒューズ/安全回路の容量設定
   電池の性能に対し、十分な余裕をもって回路が切断されるよう設定
   しておくこと。おおむね最大性能の半分~6割程度を目安にする。
 ・充電、放電、保存時は、電池の規格内の温度で使用すること。
   ショック防止のため、全面的にクッションテープを巻いた場合など
   過熱の危険が高くなるので、冷却も考慮し、通気口などが確保され
   た構造とすること。
 ・充電時は、常時監視し、放置しないこと。
   充電時の事故がありえること、電池が膨らむといった異常を放置し
   充電を継続した場合などには、爆発などの危険もあるため。
 ・過充電をしないこと。
   充電器の設定を確認すること。(LiB,LiPoの設定のままだと事故が
   起こる。充電終端電圧の設定を間違えないこと。)
   また、ロボット搭載時に、モーターの回生電力の影響から、電池の
   限界値以上の充電電圧がかかることが無いように設計すること。
 ・電池の定格を越えた電流値での放電(過放電)をしないこと。つまり
   電池の電圧が終端電圧を下回った状態で放電を続けないこと。
   そのために、
     A)常時電池の電圧が表示される電圧計
     B)終端電圧において放電を停止する安全回路
   の少なくともいずれか一つを搭載すること。
   (両方搭載することが望ましい)

   A)のみを搭載する場合、LiFe電池の放電終端電圧は、1セルあたり、
   2.2Vとする。
   競技中、それよりも電圧が下回らない段階で、競技者から電池切れ
   故障の申告を主審に行うこと。競技中に放電終端電圧を下回り、競
   技者から故障申告がない場合、ロボットが動いていても審判は故障
   (電池切れ)を宣告する。
   その問題が何度も発生した場合はイエローカードまたはレッドカー
   ドの対象行為とする。
   2.2Vまで大丈夫という意味ではないことに注意し、そこまで電圧が
   下がる前に電池切れとして電池交換をすることが必要であるという
   点に注意すること。
   フル充電なのに、動くと2.2V以下にまで電圧が下がる場合は、電池
   に対して過負荷となっているか、電池が劣化している。
   過負荷である場合は、ロボットの走行速度を落としたり、ギア比を
   ローギアードに変更して負荷を減らすこと。
   そういう変更をしても電圧が下がりすぎる場合は、電池自体の劣化
   と判断されるので、そのような電池は使用しないこと。
 ・過充電、過放電をしたことがあるバッテリは、外観に異常がなくても
  使用しないこと。
   金属リチウムの析出により、内部短絡事故(爆発することがある)
   発生の危険があるため。
 ・外観に異常(ふくらみなど)があるバッテリは使用しないこと。
 ・充電済み電池パックを、ズボンの尻ポケットに裸で入れておくという
  ような、言語道断な扱いはしないこと。
 ・電池は、ショートが発生しないようにしたうえで、安全バッグや硬質
  のケースに入れて保管すること。


 (別記条件2)18650型リチウムイオン電池の使用条件
 ・電池セル本体に、保護ICが搭載されたもの(長さが少し長いタイプ)
  は、そのまま使用可能。
 ・電池セル本体に、保護ICが搭載されていないものは、保護ICを搭載し
  た安全回路(電池ボックスに組み込まれている場合を含む)を搭載し
  ている場合に限り使用可能。
  販売箇所の例
   http://www.batteryspace.jp/shopbrand/020/001/X/
 ・電池にショックが加えられない構造であること。
   バッテリボックスが、中でガタガタしないよう、クッション材など
   で支えてある構造とすること。
 ・電池に局所的に力がかからない構造であること。
   電池表面の特定場所に力がかかるような部分がないこと。
   18650 型は金属円筒に入っているので、外部からの力に対する安全
   性は高いと考えられているが、変形すれば他の電池パック等と同様
   の問題があるため。
 ・充電したまま保管しないこと。
   充電されたエネルギー量と、事故の規模は比例するため、長時間の
   保管を行う際には、満充電の状態とはしないこと。
   ※東近江での4年弱の実績として事故の例はありませんが、潜在的
    危険性は変わらないため
 ・移動、保管は少しだけ充電した状態で行うこと。
   放電終了状態だと、使用できなくなることがある。
 ・ヒューズ/安全回路の容量設定
   電池の性能に対し、十分な余裕をもって回路が切断されるよう設定
   しておくこと。おおむね最大性能の半分~6割程度を目安にする。
 ・充電、放電、保存時は、電池の規格内の温度で使用すること。
   ショック防止のため、全面的にクッションテープを巻いた場合など
   過熱の危険が高くなるので、冷却も考慮し、通気口などが確保され
   た構造とすること。
 ・充電時は、常時監視し、放置しないこと。
   充電時の事故がありえること、場合により爆発などの危険があるた
   め。
 ・過充電をしないこと。
   充電器の設定を確認すること。(最近は、充電終端電圧の高いリチ
   ウムイオン電池もあるので、基本がセルあたり4.2Vであることを確
   認する)
   また、ロボット搭載時に、モーターの回生電力の影響から、電池の
   限界値以上の充電電圧がかかることが無いように設計すること。
 ・過充電、過放電をしたことがあるバッテリは、外観に異常がなくても
  使用しないこと。
   金属リチウムの析出により、内部短絡事故発生の危険があるため。
 ・外観に異常(ふくらみなど)があるバッテリは使用しないこと。
 ・充電済み電池パックを、ズボンの尻ポケットに裸で入れておくという
  ような、言語道断な扱いはしないこと。
  電池は、ショートが発生しないようにしたうえで、安全バッグや硬質
  のケースに入れて保管すること。
 ・常時電池の電圧が表示される電圧計を搭載すること。
   18650型リチウムイオン電池用の安全回路では、その放電終端電圧
   が1セルあたり2.5Vで設定されている例が多い。
   電圧の監視を行い、限界に達する前に電池切れとして電池交換をお
   こない、2.5Vまでは大丈夫という意味ではないことに注意する。
   競技中、それよりも電圧が下回らない段階で、競技者から電池切れ
   故障の申告を主審に行うこと。
   安全回路により、終端電圧まで電圧が下がった場合は、自動的に回
   路が切断されるはずであるが、安全回路に頼ることがないようにす
   ること。
   フル充電なのに、動くと2.5V以下にまで電圧が下がる場合は、電池
    に対して過負荷となっているか、電池が劣化している。
   過負荷である場合は、ロボットの走行速度を落としたり、ギア比を
   ローギアードに変更して負荷を減らすこと。
   そういう変更をしても電圧が下がりすぎる場合は、電池自体の劣化
   と判断されるので、そのような電池は使用しないこと。
 ・過充電、過放電をしたことがあるバッテリは、外観に異常がなくても
  使用しないこと。
   金属リチウムの析出により、内部短絡事故発生の危険があるため。
 ・外観に異常(液漏れ、へこみなど)があるバッテリは使用しないこと。



(別記参考)
   リチウム系二次電池には、さまざまな商品があるため、一部に混乱が
 見られます。下記事項を十分に理解しておいてください。

 リチウム系二次電池には、下記のような名称のものが流通しています。
  ・リチウムイオン電池 (正極はコバルト酸リチウム)
  ・リチウムマンガン電池(正極はマンガン酸リチウム)
  ・リチウムコバルト電池(普通のリチウムイオン電池と同じ)
  ・リチウムニッケル電池(正極はニッケル酸リチウム+コバルト等)
  ・リチウムリン酸鉄電池(正極は燐酸鉄リチウム=LiFe電池のこと)
  ・その他、名称に「コバルト」「ニッケル」「マンガン」などが入る
   リチウムイオン電池 (正極は、ニッケル、マンガン、コバルトを
   含む三元系が多い)

  しかしながら、これらは基本的には全て「リチウムイオン電池」にな
 ります。名称の違いは、一般的には正極(+極)の材料の違いを表して
 いるもので、原理は基本的に同じであり、共通した性質を持っています。
  リチウムイオン電池の電解質は、可燃性ある有機溶剤系の液体が使用
 されます。(*2)
  したがって異常な高温になると、電解質が気化し、電池をふくらませ
 ることになりますし、パンクすると発火、爆発などが発生します。

  電解質を液体ではなく半固体のゲル状にしたのが、LiPoなどの、いわ
 ゆるポリマー電池になります。電解質の気化・分解による爆発や発火の
 危険が少ないとも言われますが、原理はまったく同じで、電解質は有機
 溶剤系のものですから、現実的には危険性に大きな差はありません。

  また、最近はLiFePO4 という表記の中で、4が小さく書いてあったり、
 無いもの(*3)があり、「LiFePO」「LiFeポリマー」は使えるかといった
 質問を受けるようになりました。
  これは上記のリチウム燐酸鉄電池のことで、PO4 は燐原子1個と酸素
 原子4個で出来ている燐酸を指しているものであり、 POLYMER(ポリマ
 ー)の頭文字を意味しているものではありません。少なくとも市販され
 ているリチウム燐酸鉄電池の中で、明確にポリマー電解質を用いている
  と表示をしている商品は見たことがありません。

   これは、質問以前に、電池の種類などが理解できていないことになり、
  その点だけでも高性能電池を使える知識・技術が無いということになり
  そうです。少なくとも、京滋奈ブロック大会への参加者は、LiFePO4 電
  池を、一般にLiFeと称していることを理解しましょう。

   以上から分かるように、LiFe電池も、リチウムイオン電池の1種であ
  ることに変わりはありません。電池に局所的な力がかかったりして、内
  部短絡(ショート)が起きても、電極の結晶構造が強固で、熱暴走が起
  こりにくい性質があるとされていますので、特にLiFeを使用可能とした
 ものですが、発煙に至る熱暴走が発生する極材料の温度は100℃ 少々で、
 他のリチウム系2次電池と大きな差があるわけでもありません。

   18650 型については、東近江で4年弱の間、事故なく運用している事
  例があることから、条件を追加して使用できると設定したものです。こ
  れは金属製の円筒に入った構造であるため、ある程度までの外力に対し
  他の電池より安全性が高いものであり、テスラ社の電気自動車では日本
  のパナソニック製の18650 型のみを採用し、テスラ社としては、詳しく
 は言えないが、他のタイプに比べて少なくとも5つの利点があると言っ
 ているところです。
  そういったことで、実績と、外力への安全という点を考慮し使用可能
 としたものです。
  ただし、電池の能力を超えるほど、消費電力の大きなモーターを使用
 したような場合までの安全性確認ができているわけではなく、140-280
 クラスのモーターで、2セル直列の7.4Vならば実績があるという話であ
 り、なんでもOKと保証するものではありません。

  どのようなリチウムイオン電池でも、釘刺しのような壊れ方をすると、
 発火事故に至る危険があります。発火しなくとも微量ですがフッ化水素
 ガスが発生することがあります。これは負極(-極)にフッ化カーボン
 が使用されていることによりますが、微量とはいえ、フッ化水素ガスは
 法律で毒物に指定されている物質ですので、安全のためには電池を破損
 させないことが何よりも重要です。

  なお、その他の詳細な技術情報は、別稿にゆずります。


(*1)
  2016ジャパンのルールでは、「高性能電池=LiPo」と定義されていま
 したが、リチウム系2次電池の「潜在的な」危険性は、内部に蓄えられ
 たエネルギーの大小、すなわち基本的には電池の容量に依存するもので
 す。そのことから、2017のルールでは、LiPoだけを特別扱いするのでは
 なく、広い意味でのリチウムイオン電池全般への規制と変更されていま
 す。一方で、当然のことですが、いくら容量の大きな電池でも、充電さ
 れた電気が無い空の状態であれば、その「潜在的」危険は小さいものと
 なります。
  「潜在的危険性」のエネルギーの大きさは、各種のリチウムイオン電
 池すべてに共通するものですので、京滋奈ブロックでは、より実態に即
 し、リチウム系2次電池全てを「高性能電池」と定義しローカルルール
 を定めました。

  一方で、危険性の「顕在化」の可能性は、電極材料による差があると
 聞いています。
  LiFePO4電池(LiFe) は、他のリチウム系2次電池と比べ、正極の結晶
 構造が強固なため、熱暴走の発生可能性は小さく、熱暴走による危険性
 の顕在化や、事故が起こりにくいという意味で安全性が高いことが知ら
 れています。(熱暴走以外の危険はあります)
  日本メーカーは、LiFeという電池の種類は存在しない、リチウム系2
 次電池は全部同じで「潜在的危険性」に差はないと言っているようです
 が、危険の「顕在化」の違いについては無視しているという面もあるよ
 うです。

(*2)
  金属リチウムと水が反応すると、水素ガスが発生し危険です。そのた
 めリチウムイオン電池は、内部の水分を徹底的に脱水してサブppmま
 でに「乾燥」させて製造されています。
  通常は、電池内に金属リチウムは存在しませんが、過充電などで針状
 の金属リチウムが析出し、それが絶縁層を突き抜けて内部短絡を起こす
 ことで、充電して置いてあった電池が突然発火するといった発火事故の
 原因になることがありますが、それにより電池が破損して水と接触する
 と、析出した金属リチウムと水から水素ガスが発生し、爆発の危険を生
 じます。
  リチウムイオン電池の処分方法で、塩水に漬けて放電させるというの
 が Web上で見られますが、京商などの一部メーカーは、その方法を推奨
 しないという話も出ています。
 (金属電極の腐食により、放電し切れない場合がある等)


(*3)
  LiFePOと書いてあるバッテリパックは見たことがあります。
  パックにする前の、単体の電池で、そのように書いているものは見た
 ことがありません。
  自社で電池単体を製造せず、他から仕入れてパックに組み立てるだけ
 のメーカーが、確実な知識がないまま、LiPoのようにポリマー電解質を
 持つものと誤解して、パック表面に誤記をしている可能性が高いと思わ
 れます。
  LiFeポリマーなどと言うと、そういったいい加減なメーカーと同等と
 思われることにもなりそうです。