京滋奈ブロック大会は、2017年1月に開催を予定しています。
その際のバッテリに関するローカルルール(暫定)を以下のとおりとします。
1)使用できるバッテリ
・乾電池(充電できない1次電池)のうち、
マンガン乾電池
アルカリ乾電池
は使用できます。
・2次電池(充電可能な電池)のうち、
ニッカド (NiCd)電池
ニッケル水素 (NiMH)電池
リチウム燐酸鉄(LiFe)電池
は使用できます。
・LEGO MINDSTORM NXTを使用し、NXT以外に電源供給しない場合に限り、
LEGO純正バッテリ(WPT9798、WPT9693)
は使用できます。
・LEGO MINDSTORM EV3を使用し、EV3以外に電源供給しない場合に限り、
LEGO純正バッテリ(EVP45501)
は使用できます。
・ロボットにスマートフォン等を搭載する場合、その機器のみを動作
させる純正内蔵バッテリは、リチウム系のものでも使用できます。
(その機器以外にも給電する場合は不可)
・スマートフォン等用外部電池(USB給電のもの)を搭載する場合、メー
カー保証の最大電流値以下で使用する場合は使用できます。
メーカー保証の最大電流値が不明であるものは、最大電流値を 500mA
とします。
・上記以外の電池は使用できません。
リチウム系バッテリに関する詳細は、末尾の参考をご覧ください。
2)その他のバッテリに関する制限事項
前項以外、バッテリに関する規定は、ジャパン2016大会のローカルルー
ルに準じます。
http://rcjjinternational.blogspot.jp/2015/11/2016.html
ただし、下記事項を、京滋奈ブロックのローカルルールとします。
・ジャパンのルール b-2(ヒューズ等)について、使用できるのは
1)物理的に溶断して、再度電流が流れないもの(一般的なヒューズ)
2)異常が継続する場合は、再度電流が流れないもの(安全回路)
とします。なお、ポリスイッチは使用できません。
・ジャパンのルール b-4(保護メガネ)については適用しません。
・LiFe電池を使用する場合は、電池の電圧が常時把握できる構造とする
か、終端電圧で自動的に電流を遮断する装置を搭載して、過放電させ
ないように運用することを条件とします。
3)全般的な事項
ロボカップジュニアでは、技術的な点は参加者の自己責任となります。
個別製品について、使用の可否などの問合わせがあっても、ブロックに
おいて全商品を十分にテストすることまではできませんので、回答でき
ません。
LiFeであれば安全ということではなく、リチウムイオン電池特有の危険
はLiFeにもあります。そのため、使用にあたっては、
・ショックを与えない
・局所的に力がかからない
・充電したまま保管しない
・移動、保管は少しだけ充電した状態で行う
・ヒューズの選定は、電池の性能やディレーティングを考慮して安全に
定める
・充電、放電、保存時は、電池の規格内の温度で使用する
・充電時は、常時監視する(放置しない)
・過充電をしない
・ロボット搭載時に、回生により限界値以上の充電電圧がかからないよ
うにする
・電池の定格を越えた電流値での放電(過放電)をしない
・電池の電圧が終端電圧を下回った状態(バッテリの充電量がなくなり
かかっている状態)で放電を続けない
・過充電、過放電をしたことがあるバッテリは、外観に異常がなくても
使用しない
・外観に異常(ふくらみなど)があるバッテリは使用しない
といった点に注意してください。
(参考)
リチウム系二次電池には、さまざまな商品があるため、一部に混乱が見
られます。下記事項を十分に理解しておいてください。
リチウム系二次電池には、下記のような名称のものが流通しています。
・リチウムイオン電池 (一般に、正極はコバルト酸リチウム)
・リチウムマンガン電池(マンガン酸リチウム)
・リチウムコバルト電池(普通のリチウムイオン電池と同じ)
・リチウムニッケル電池(ニッケル酸リチウムにコバルト等添加)
・リチウムリン酸鉄電池(燐酸鉄リチウム・LiFe電池のこと)
・その他、名称に「コバルト」「ニッケル」「マンガン」などが入る
リチウムイオン電池 (正極は、ニッケル、マンガン、コバルトを
含む三元系が多い)
しかしながら、これらは基本的には全て「リチウムイオン電池」になり
ます。名称の違いは、一般的には正極(+極)の材料の違いを表している
もので、危険性において多少の差はありますが、共通した性質を持ってい
るものです。
リチウムイオン電池の電解質は、有機溶剤系のものが使用されます。
(*1)したがって異常な高温になると、電解質が気化し、電池をふくら
ませることになります。
電解質を液体ではなく半固体のゲル状にしたのが、LiPoなどの、いわゆ
るポリマー電池になります。電解質の気化・分解による爆発や発火の危険
が少ないとも言われますが、原理はまったく同じで、電解質は有機溶剤系
のものですから、危険性には大きな差はありません。
また、最近はLiFePO4 という表記で、4が小さく書いてあったり、無い
もの(*2)があるので、よく「LiFePO」「LiFeポリマー」は使えるかと
いった質問を受けるようになりました。
しかし、これは上記のリチウム燐酸鉄電池のことで、PO4 は燐原子1個
と酸素原子4個で、燐酸を指しているものであり、 POLYMER(ポリマー)
の頭文字を意味しているものではなく、質問以前に、電池の種類が理解で
きていないことになります。
LiFePO4 電池を、一般にLiFeと称していることを把握しましょう。
以上から分かるように、LiFe電池も、リチウムイオン電池の1種である
ことに変わりはありませが、電池に局所的な力がかかったりして、内部短
絡(ショート)が起きても、電池が熱暴走しにくいという性質があるので、
特にLiFeのみを使用可能としたものです。
ただし、発煙に至る熱暴走が発生する温度は100℃ 少々で、他の電池と
同じくらいです。
なお、釘刺しのような壊れ方をすると、微量ですが、フッ化水素ガスが
発生するのも、一般のリチウムイオン電池や、LiPoと同じです。これは、
負極(-極)にフッ化カーボンが使用されていることによります。そして、
微量とはいえ、フッ化水素ガスは、法律で毒物に指定されている物質です
ので、電池を破損させないことが重要です。
(*1)金属リチウムと水が反応すると、水素ガスが発生し危険です。そ
のためリチウムイオン電池は、内部の水分を徹底的に脱水するよ
うにして製造されています。
通常は、電池内に金属リチウムは存在しませんが、過充電などで
針状の金属リチウムが析出し、それが絶縁層を突き抜けて内部短
絡を起こし、充電したまま置いてあった電池が突然発火するとい
った事故の原因になるとともに、電池が破損して水と接触すると
水素ガスが発生します。
リチウムイオン電池などの処分方法として、塩水に漬けて放電さ
せるというのが Web上で見られますが、京商などの一部ラジコン
メーカーでは、その方法を推奨しないという話も出ています。
(金属電極の腐食により、放電し切れない場合がある等)
(*2)LiFePOと書いてあるバッテリは、ポリマー電解質を持つのかどう
かも判然とせず、おそらく電池パックメーカー自体が、よく分か
らないまま、誤記をしている可能性が高いと思われます。
最近は、あまり見なくなったように思われます。